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2021/10/12
経営していた飲食店の閉店を決めた経営者には、さまざまな手続きが待っています。 初めてお店を閉めるなら、わからないことだらけでしょう。 手続きが遅れてしまうと、後々請求が来たり、呼び出しにあったりと、問題になることもあります。
この記事では、閉店時の手続きを3つのステップに分けて順番にご紹介していきます。 手続きの内容が多いので不安になることもあるとは思いますが、順を追って進めれば問題になることはありません。
ステップを1つずつ丁寧に解説するので、一緒にやっていきましょう。
閉店時に行うべきステップは大きく分けて3種類です。
①金融機関等へ報告 ②廃業届の提出 ③関係各所への連絡
それぞれに複数の項目が存在するので、一つずつ解説します。
まずは閉店することを各場所に通知することで、今後出る可能性のある出費をおさえます。
借りた物件で飲食店を開いていた場合、解約をする一定期間以上前に書面にて解約通知をする必要があります。 飲食店舗の場合、3〜8ヶ月前の通知が求められることが多いです。
特に、居抜き物件として引き継ぎをしたい場合、解約予告期間中に新しい借主が見つからなければ原状回復工事をする結果になるケースもあるので注意してください。
借入金を完済する前に閉店する場合、必ず金融機関に通知をする必要があります。 お金を借りた対象がなくなるということは、返済期間や追加融資の変更がある可能性があります。 閉店をした場合にも月々の返済は残りますが、閉店した後にも問題なく支払い続ければ、次に新しく開店した際に融資を受けやすくなります。 通知をしたからと言って、一括で支払いを済ませる必要はないので安心して下さい。 一方で通知をしないで返済が滞ってしまった場合には、金融機関からの信用が一気に落ちてしまいます。
お店を閉店するときにリースの残りがある場合、精算をする必要があります。 閉店する時点で一括での精算が難しい場合は、リース会社に相談すると良いです。 リース契約をしているものの所有権はリース会社にあるため、売り払ってお金を手に入れることはできません。 また、店舗を居抜き物件として引き渡す場合にも資産として残すことはできないので、リース契約の精算は必ず必要になります。
開業した際には「開業届」を提出したと思います。 廃業をする際には同様に「廃業届」を出す必要があります。
郵送ができる書類もありますが、ミスがあると何度も郵送をしなおうす必要があります。 窓口に行く場合も、不備があると時間がかかります。 確認をして提出をするようにしましょう。
それでは、届出先とあわせて、何を届け出るのかを紹介していきます。
飲食店を営業するために取得した「営業許可書」は、廃業届とあわせて返納する必要があります。 廃業届は保健所が指定するフォーマットに必要事項を記載し、営業許可書を添付して提出します。 一般的には窓口で行いますが、地域によっては郵送でも可能です。 提出期限は廃業日から10日以内であることが多いです。
深夜0時以降に酒類を提供している飲食店なら、警察署に提出をしているはずの「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」。 廃業時には「廃業届出書」と「返納理由書」を提出する必要があります。 これらの書類は廃業が決まって10日以内に提出しなくては、30万円以下の罰金が課せられるので注意しましょう。
飲食店の閉店時、税務署には最大4種類の届出を提出します。
・個人事業の廃業届出書:移転などせず個人事業主として収入がなくなる場合 ・給与支払い事務所等の廃止の届出:従業員を雇用していた場合 ・所得税の青色申告取りやめ届出書:青色申告をした人 ・事業廃止届出書:消費税課税事業者の場合
開業届と同様のフォーマットで廃業届の記入が可能です。
閉店する場合、「防火管理者解任届出書」を提出する必要があります。 地域ごとの消防署のホームページからフォーマットを入手することができます。 特に提出期限は決まっていないので焦る必要はありませんが、解任日自体は閉店日となるので、迅速に提出できると良いでしょう。
雇用保険に加入していた人は、 ・雇用保険適用事業所廃止届 ・雇用保険被保険者資格喪失届 ・雇用保険被保険者離職証明書 上記3種類を公共職業安定所に提出する必要があります。
「雇用保険被保険者離職証明書」は複写式の用紙となるため、窓口で入手するのが良いでしょう。 提出期限は廃業の翌日から10日以内と決まっています。
事業を休止・解散など店を閉めたときには、「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」をする必要があります。 提出に必要なのは、「解散登記の記入がある法人登記簿謄本のコピー」あるいは「雇用保険適用事業所廃止届」となります。 閉店から5日以内に届出をしなくてはいけないので注意して下さい。 書類は日本年金機構のホームページから入手するようにしましょう。
従業員を雇用し労働保険に入っている場合、「労働保険確定保険料申告書」の提出が必要です。 労働基準監督署・金融機関・都道府県労働局のいずれかに提出をします。 申告書は送付されてくるため、自分で取得する必要はありません。 提出期限は閉店日から50日以内なので、他の書類と比べて余裕があります。
事業を閉める上で、物理的に不要になったものの解約も必要です。 一般的な引っ越し時と同様に、解約日を事前に電話で伝えておく必要があります。 それぞれ確認していきましょう。
・ガス ・水道 ・電気 このような公共機関の解約は、事前に伝えておく必要があります。 ガスは立ち合いが必要な場合もあるため、閉業日までのタイミングとあわせて日程を確保するよう動きましょう。 居抜き物件として明け渡す場合も、次に契約する人に迷惑がかかる他、料金があなた名義で引き落とされる可能性があるため、忘れずに解約をしましょう。
レンタル品を返却しないでいると、レンタル代がかかるだけでなく不動産会社に処分されてしまう場合があります。 明け渡すときにはレンタル品を完全に返却した状態にしておきましょう。 引き取りに来てもらう場合は閉店日がオススメです。
食材やドリンク類の仕入れでお世話になった業者さんには、閉店のタイミングと仕入れストップの時期を事前にお伝えしましょう。 移転をする場合には移転先へ届けてくれるか確認するのも良いです。 完全に閉店の場合には、今までの感謝をこめてしっかりと挨拶するようにしましょう。
店頭や店内に閉店を知らせる張り紙をしておくと、お客様にも閉店を知ってもらえる告知になります。
(告知方法は下記記事を参照下さい)『閉店時の告知方法とは?どうやって、いつお知らせをするべきなのか解説』 「最後にもう一度」と足を運んでくれるお客様もいるかもしれません。 最後までしっかり、お客様に感謝を伝えましょう。
以上で閉店時の手続きは終了です。 お疲れ様でした。