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2020/06/05
店舗・飲食店の撤退を決めたときに、まず始めに思い浮かべるのは「貸主に解約を伝える」ことかと思います。しかし、当社では「貸主に解約を伝える」一般的な閉店はオススメしておりません。このページでは、店舗・飲食店の撤退の際、なぜ通常解約をオススメしないのか。よく聞くスケルトンとは?居抜き売却とは?ということを、説明していきます。
目次
飲食店を始めるにあたり、自分の土地ではない限り、貸主様との「賃貸借契約」を結ぶのが一般的です。たくさんの契約書にサインをするときに、隅から隅までじっくり読む方もいらっしゃるかと思いますが、軽く流し読みをしてサインをするという方も多いのではないでしょうか。
しかし不動産におけるトラブルの多くは、この賃貸借契約に関わるトラブルと言われていて、その中には、解約時には物件の原状回復後明け渡しをすることが盛り込まれていることがほとんどです。
原状回復とは、内装などの設備が全て撤去された状態のことをいい、その状態の物件は「スケルトン物件」とも呼ばれています。イメージ的には、コンクリートがむき出しの状態で、室内に物が何もない状態です。
しかし飲食店では、コンクリートがむき出しで、室内に何もないまま営業していることはありえません。厨房器具やお客様用のテーブル・椅子が設置され、壁や床も変更していることがほとんどです。
「まだまだ新しいし…。」「おしゃれだから壊したくない!」などといった声も聞こえてきそうですが、契約書にサインをしているため、解約時には自分で工事業者を手配し、スケルトン状態にすることが義務付けられています。
スケルトン工事費は、カフェなどの小規模な厨房器具で約5万円/坪、焼肉店などの大掛かりな厨房器具が必要なお店では、約7万円/坪が相場と言われています。平均的な広さの20坪のカフェの場合で、100万円前後となります。
スケルトン工事は、規模にもよりますが2週間前後の日数がかかり、工事完了後は当然お店の営業は出来ませんが、解約完了日までの期間も家賃は発生します。
お店の解約は半年前には通達しなければいけないことが多く、通達後、いつまでにスケルトン工事を完了しなければならないかが決まります。そして重要な点ですが、解約通達後から実際の解約日までは、家賃の支払い義務があります。お店が営業できない期間も、家賃を払い続けなくてはならないのです。
仮に、東京都内の20坪前後の一般的な家賃、26万円/月だったとすると、半年分の家賃156万円が自己負担となります。そこに、スケルトン工事の100万円が加算されますので、256万円が必要な資金となります。
撤退するのになるべくお金をかけたくないと思うのは、当然です。
そこで居抜き売却という方法が広がりました。
居抜き売却とは、撤退時に原状回復を行わず、内装や厨房器具をそのままの状態で次の人に引き継ぐ方法です。すると当然、スケルトン工事費(約100万円)は必要なく、引渡し直前まで営業することも可能なので、空家賃(約150万円)の発生も抑えられます。
これだけでも、250万円前後の損失を抑えられますが、居抜き売却にはもうひとつのメリットがあります。
居抜き売却は、タダで譲るわけではなく「売却」します。そのため、次の買い手から厨房器具や内装、テーブルや椅子の売却益を得られます。通常撤退では、処分にお金がかかるはずだった物から、利益を生むことができるのです。
仮に売却益が500万円だとすると、先程の250万円の損失を抑えられることを加えて、750万円もの差額が生まれます。
基本的には売却側にデメリットはありませんが、いくつかの注意点があります。
それは、貸主との交渉です。
居抜き売却に決めたからといって、契約書の「原状回復義務」がなくなるわけではありません。そのため、貸主には一度契約内容を撤回していただく必要が生じ、そのためには話し合いが必要となります。
本来居抜き売却は、売り手、買い手、貸主の全員にメリットのある手法なのですが、専門家でない場合その辺りのきちんとした説明が難しく、契約書を撤回することは難しいでしょう。
また、一度貸主に撤退を告知してしまうと、その時点で現状回復義務が生じてしまい、その後に契約内容を撤回してもらうのは、かなり厳しくなってしまいます。
そのため当社では、撤退をお考えになられた時点で、まずは一度ご相談いただくことをオススメしております。